今回はスーパー、八百屋でお馴染みのショウガです。ショウガはミカン、サンショウ、ミョウガと並ぶ薬味のひとつで、我が国でも古代より鎮重されてきました。
毒消しの効果があると言われ、刺身や折り詰めには不可欠です。漢方薬としては、根茎をそのまま用いる「生姜(ショウキョウ)」といった蒸して乾燥させた「干姜(カンキョウ)」とに使い分けています。生姜は、食欲増進、胃下垂、吐き気、しゃっくり、腹痛、下痢、カゼ、喘息、など広く用いられています。なかでも吐き気を抑える作用が強いため、妊娠つわりで何でも食べられない時など小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリョウトウ)という処方を用い大変効果があります。これは、生姜、半夏、茯苓、という3つの生薬を組み合わせたもので、冷やして飲むのが良いとされています。吐き気を止めて胃の中にたまっている胃液や食物を腸へ送り込む働きがあり車酔いや二日酔いにも使われます。
一方干姜は体を温める作用が強いので、胃腸が冷えて痛んだり下したりする時に用いる大建中湯(ダイケンチュウトウ)や人参湯(ニンジントウ)という処方に入っています。
また、アメリカでも「ジンジャーエール」として子供の自家中毒に用いられています。
ショウガも前回のクズ(カッコン)と並んでカゼ薬として古くから使われています。体を温め発汗させる働きがあり、お湯やお酒に入れて服用すると翌日にはすっきりします。
生姜湯に顔しかめけり風邪の神 虚子