COLUMN
健康コラム

貝原益軒『養生訓』に学ぶ(その4) ~おかずの種類~

2024/10/15

飲食の内、飯は、飽かざれば、飢を助けず(飯は満腹せねば食った気がしない)、あつもの(汁物)は、飯を和せんためなり。
肉は、あかずしても、不足なし。少し食って、食をすすめ、気を養うべし。
菜は、穀肉の足らざるを助けて、消化しやすし。
皆、其(の)食すべき理あり。然れば、多かるべからず。
『養生訓』第三巻

「日本人の食生活は理想的だ」と言われはじめて何年くらい経ったでしょうか。
米国では1960年代から狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患による死亡率の高さを危惧して血中コレステロール値を下げようと全国的なキャンペーンが行われ、それまでの高タンパク高脂肪食を改めようと努力してきた結果、成人の平均コレステロール値は明らかに低下してきています。
一方、日本では、戦後の食糧難時代に根付いた「欧米型食生活=豊かな食事」という考えから急激に高タンパク高脂肪食化が進み、現在では脂肪エネルギー化(摂取エネルギーのうち、脂肪から摂るエネルギーの割合)が理想といわれる25%を完全に上回り、27%程度となっています。成人の平均コレステロール値もついに米国人の平均を上回ってしまい、このまま上昇が続くと冠動脈疾患による死亡率も40年前の米国並みとなることでしょう。
理想的だといわれている日本の食生活が、現在の平均的な食生活でないことは明らかです。
そこで、見直したいのが益軒も勧める「主食+一汁三菜(あるいは一汁二菜)」です。ごはんを主食とし、汁物で満腹感を補い、少量の肉(魚肉)で食欲をおこし、野菜をたっぷり食べてからだの調子を整えるビタミン・ミネラルを補給する。
それぞれに役割があり、これらが補い合ってはじめて健康的な食事になるわけですから、肉ばっかりとか、ご飯ばっかり、野菜ばっかりといった偏った食べ方をしないこと。おりしも、『粗食のすすめ』が注目を集めている現在。 もう一度、健康長寿を培ってきた時代の食生活を見直してみませんか?

栄養士 木下美由紀

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