COLUMN
健康コラム

貝原益軒『養生訓』に学ぶ(その1)~肉の多食は老いのもの~

2024/10/15

肉を二つかさぬべからず。又、肉多くくらふべからず。生肉をつづけてくらふべからず。滞りやすし。
(煮た汁物)に肉あらば、(お采・副食物)には肉なしがよろし。
『養生訓』 第三巻

益軒では養生訓のなかで、「肉は続けてたくさん食べるな」と述べています。ここで言う“肉”とは、牛肉や豚の家畜はもちろん、鶏肉・魚肉も含む、いわゆる動物性たんぱく源を示しており、これらを多くとるべきではない
という事です。
現代日本では、どうでしょうか? ちまたでは、よく「体力をつけるために焼肉を食べに行こう」とか、「肉をしっかり食べて元気を出さないと」と言う声をききます。
はたして、肉を食べると本当にスタミナがつくのでしょうか?肉は確かにタンパク質や脂肪が豊富に含まれ、エネルギー(カロリー)が高いと言う意味では非常に栄養豊富な食品です。たんぱく質は筋肉や骨の構成成分であり、また、酵素やホルモンとしてからだの調節に大切な物質であるため、特に、成長期・妊婦・授乳期・貧血傾向等の場合は、十分な
量を摂らなければなりません。しかし、成人の場合、たくさん食べたからといって、それが全部筋肉や骨になって体を丈夫にするかといえばそうではりありません。筋肉や骨は(成長期でない限り)運動せずして発達しませんので、食べたタンパク質をそのまま全て筋肉として保持する事はできません。
余分なたんぱく質はエネルギーの材料として脂肪に置き換わり、体脂肪として体の中に蓄えられ、これが続くと当然肥満を引き起こしてしまいます。成人の一日に必要とされるたんぱく質量は、男性70g、女性60g(生活活動強度:19~49歳)です。

 ~食品に含まれるタンパク質量~
・玉子     1コ    6.2g(80kal)
・あじ     中1尾  11.2g(80kal)
・豚(もも)  60g   12.9g(80kal)
・豆腐(もめん)1/4丁  6.8g(80kal)
・牛乳     200cc  6.0g(120kal)
・ごはん3杯(165g×3)6.9g(720kal)

その他、野菜、海藻等、いも、豆類等にもタンパク質は含まれています。外食の多い方、育ち盛り、食べ盛りの子供をもつ家庭、働き盛りの男性には摂りすぎが目立ちますし、逆に、1人暮らしの方、食の細いお年寄り、ダイエットをしている方は不足しがちになりますので、適正量を摂りましょう。1回の食事に、肉や魚(玉子、大豆製品等も)は手のひらサイズ(指の部分は除く)を1~2品が適当です。昔も今も“肉”ほどほどに。

栄養士 木下美由紀

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