COLUMN
健康コラム

貝原益軒「養生訓」に学ぶ(その2)~腹八分~

2024/10/15

飲(み)食(う)ものにむかへば、むさぼりの心すすみて、多きにすぐる事をおぼえざるは、つねの人ならひ也。
酒・食・茶・湯、ともによきほどと思ふよりも、ひかえて七・八分にて猶も不足と思ふ時、早くやむべし。
飲食して後には必(ず)十分にみつるもの也。
食する時、十分と思へば、必(ず)あきみちて分に過(ぎ)て病となる。
「養生訓」第三巻
益軒は、このほかにも養生訓のなかでしきりに大食を戒め、腹八分を勧め
ています。

大食では戦いに負ける。美食を前にしてこのことを忘れてしまうか、それともしっかり心に命じて大食を避けるかによって、その人が人生のいろいろな戦いに勝か負けるが決まる。食事を摂ると、副交感神経が刺激されて消化管の動きが活発になり、消化管周辺の血管に血液が集中して栄養を吸収しようとします。
その間、“攻撃の神経”と呼ばれる交感神経は働きが弱くなっていますので、その他の動きが緩慢になり、とっさの動きがとりにくくなります。ですから、食後はだるいような、動きたくないようなきになってしまい、緊張した行動がとれません。大食をすれば、消化にかかる時間も長なってしまいますので、おのずと次への行動が遅れる…と云う事に。また、食べているときは丁度良くても、あとからお腹がはちきれそうになる……と、いう事はありませんか?
動物は、物を食べてしばらくすると、脳の視床下部にある満腹中枢から信号が出て、食べ物がまだっても、必要以上に食べる事をやめます。
「この満腹である」と言う信号は、食事をし始めてから20~30分たって出てきます。早食いの人は、食べ終わってしばらくしてやっと満腹感が出てくるので、随分食べ過ぎていたという事になってしまいがちです。

さらに、人間は非常に発達した大脳のため、お腹がいっぱいなのにおいしいものを見ると反応し、食べたくなってしまいます。これが続くと満腹信号に対する脳の反応が鈍くなり、満腹感がズレてしまい、食べ過ぎに対する感覚が鈍って徐々に太っていきます。ダイエットを考えている人は、今より1~2割少ない量の食事をよく噛んで20分位かけて食べる習慣をつけましょう。

早食い・大食は病気のもと。ゆっくりよく噛んで、腹八分。これは昔から変わりませんね。

栄養士 木下美由紀

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