COLUMN
健康コラム

もっと おコメを食べませんか

2024/10/15

日本人は戦前1人平均1日400g以上のおコメを食べていました。現在はなんとその半分以下で、おコメを全く食べない人も増えています。この食生活の変化は何をもたらせたのでしょうか。

■油、砂糖だらけの食生活

戦前と戦後でひとり一日の平均消費カロリーは2200kcal程度でそれ程変わっていません。しかし食事の内容は、油脂、砂糖の消費が増えたのに対し穀類の占める割合が減少し大きく変化しました。運動不足と相まって生活習慣病である糖尿病は30倍に、血液のコレステロール値は米国を抜き、脂肪の摂取と関係が深い乳ガンや大腸ガンが急増しています。
学校給食でパンや牛乳を中心とした欧米食に馴れ親しんだ子供達は成人して、ミスタードーナツ、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンなどのファーストフードが大好物になっています。子供の頃からこのような油と砂糖漬けの食生活が、現在問題となっている小児の肥満やアトピー、花粉症、喘息などのアレルギー病の原因のひとつと考えられています。更にすぐ「切れてしまう」子供や我慢のできない子の増加にも関係があるのではないかと言われています。全国津々浦々に拡がったファーストフード店に入ってみますと、殆んどの料理は、豚、牛、鶏の獣肉、バター、チーズ、牛乳などの乳製品、オイルドレッシングや多量の砂糖を用いたスナック類であることが分かります。まさに油まみれ砂糖まみれの食事と言えます。更に、スーパー、コンビに、自動販売機で、簡単に清涼飲料水や缶コーヒーが手に入り、
起きている間はずっと砂糖の点滴注射を受けているようなものです。

■おコメを食べなくなった日本人

私も子供の頃「ごはんは残していいから、オカズをしっかり食べなさい。」と言われてきましたので、大人になるまでそれを実行してきました。ごはんよりもオカズの方に価値があるものと刷り込まれてきたのです。ごはん少々、オカズをタップリの食生活を続けた結果、体重はオーバー、肩凝り、疲れ易くスタミナが衰えてきました。それに伴って血圧が上昇し、血中のコレステロール値も上限を超えてしまい成人病予防軍になっていました。

■オコメは健康食

これではいけないと一大決心をして、朝食をパン食から和食に切り替えました。夕食もごはんと汁物を先に食べて、あとでオカズを少な目にしてみました。勿論、揚げ物、天プラ、中華などの油濃い料理は控えて、肉よりも魚を多く食べるようにしました。そうした所、特に意識もしないのに体重は5㎏減って、それに伴って肩こりもなく、血圧、コレステロールも正常になりました。スタミナもついてきて、現在は昼食抜きで走り回っていますが平気で体調良好です。例えば朝食をパン中心にすると、それにバター、マーガリン、ジャムを塗ることになります。卵はハムエッグにしてチーズを添え、ドレッシングのかかったサラダ、それにミルクと砂糖の入ったコーヒーと脂肪、砂糖の過多なメニューになってしまいます。一方、主食をごはんにしますと具沢山の味噌汁、納豆、のり、卵焼き、干し魚、ほうれん草のおひたしと、穀物、野菜を豊富に摂ることができます。和食は塩加減を少し注意さえすれば、理想的な長寿健康食であると海外からも評価されています。ごはんに、コーラやマックシェイクは会いません。

■ダイエットにも役立ちます

当クリニックでも肥満外来を行っており、食事指導に力を入れています。巷でも、コンニャク、リンゴ、パイナップル、海草ダイエットと花咲りです。しかし医学的にみて効果が期待できないものや、危険なものもあり注意が必要です。だいいち、単一の食品だけ食べる方法が長続きするはずがなく、一度は痩せてもすぐリバウンドがあり、前よりも肥ってってしまいます。色々と試行錯誤の結果、当クリニックでは、ごはん、和食中心の食事指導を行っています。三度の食事をごはんを主食にすると、先程のような油、砂糖の少ないメニューにすることが出来ます。油や砂糖は肥満の元凶ですので、和食にさえすれば特別なことをしなくても自然にカロリー量は減少してきます。そしてごはんのような穀物は食物繊維が豊富ですので、腸からの吸収もゆっくりで、腹もちも良く、腸のそうじもしてくれるので、すっきりとした排便があります。便秘や大腸癌の予防にもなるわけです。

我々日本人は何千年もの間、穀物、季節の野菜、近海で獲れる魚介類を食糧にしてきました。それが昭和30年を境にして、欧米の肉、卵、牛乳、砂糖の食事に切り替わりました。例えて言えば、石炭ストーブに燃料として、石炭ではなく石油を使うようなものです。不完全燃焼をするばかりか、危険でもあるわけです。日頃の食生活を少し見直してみませんか。

【参考】

幕内秀夫著  「粗食の進め」 

駐車場案内