今回は、お灸のお話です。
お灸の歴史も起源は古く、最初は木の枝などを燃料にし体の一部を焼いたりあぶったりして病気を治療 していましたが、紀元前400年前頃より艾(もぐさ)がおもな燃料になりました。
これを艾灸(かいきゅう)と言います。艾の原料ですがこれは、菊科の多年草である蓬(よもぎ)です。
日本では古来より、伊吹山、標地原の蓬が艾用としてはもっとも良いとされていましたが、現在は新潟が 全生産量の80%をしめています。さらに、蓬は単に灸の材料であるばかりでなく、解熱剤、利水剤、止 血剤、防腐剤、殺虫剤、胃腸剤などとしての効果があります。この蓬5~6月頃にかけて若葉を刈り取り、 陰干しか、4~5日、日光にあてて、よく乾燥させ、茎を除いて葉のみを集めて、石臼でついてふるいにか け残った白い繊維様の物を風通しの良い場所に保存しておくと、柔軟で淡黄色のものになります。これが艾です。
それでは、品質の良い艾と悪い艾の見分け方ですが、良い艾は古く、手触りが良く柔らかい、よく乾燥して いるが、不純物少ないなどがあげられます。逆に悪い艾は、新しく、手触りが悪い、湿気を帯びている、不 純物多いなどです。古い艾は保存方法が良ければ乾燥がよく、点火し易く途中で消えないので熱も緩和で、 心地よいのですが、新しい艾は、湿気を多く含み、点火しにくく、途中で消えやすいので、熱は急激に上が り耐えがたくなります。良い艾は主に皮膚にすえるのに用い、品質の悪い艾は皆様ご存知のせんねん灸や、 鍼の頭に丸めた艾を置いて火をつける線香ですが、タブの木(楠の木の一種)の樹皮や葉の粉末などに、香 料や着色剤を加え作ります。仏事などに用られる線香より太く(直径3mm程度)、折れにくく、香りが少 ないのが特徴です。